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東京都大田区 「NTVP青少年少女起業体験キャンプ」(ボランティア)

「株式会社 ぼたもち」班

「(株)ぼたもち」の戦い 渡辺 真

(事業計画書)
イメージ私は少し遅れて参加した。事業計画書を書き終わった「(株)ぼたもち」のメンバーと初めてのご対面だ。5,6年生4人と中学2年生リーダー1人の合計6人のチームだった。そして彼らの書いた事業計画書に目を通す。「これは何のメニュー!?」そこには屋台のメニューかと思われる模造紙があるではないか。彼らはそれが事業計画書だと言う。うーん。そこで困った私は、そこまでを見ていたもう一人のVC-TAKEさんに今までの流れを聞くことから、その模造紙の内容を理解しようと試みた。

彼らは今までのボーイスカウトの経験から、食べ物を作って儲けることは簡単だと考えていた。そこで、単純に自分達の食べたいものを事業企画書に書き上げ、それを売ろうと思ったらしい。しかし、それを作るのにどれだけの経費がかかって、いくらで売れば採算が合うのかなんて、頭には無いことだけは確かだった。でも突然きた私が、彼らにそれを指摘しても「なんだこの人」になってしまうだろうと思い、とりあえず私は他の班が発表するのを聞いて自分達の事業企画書でいいかどうかを判断することだけを助言した。

次々と他の班が発表し、メンバーの顔色が危うくなっていく。「これじゃメニューじゃん」と一人が言った。やっと気づいてくれたか…。そこから、その場しのぎの事業計画書の作りが始まった。発表の順番が最後だったので、直前までかかって書き上げた。もちろん拙いのは分かっていたが、それでも発表して悔しい思いをするのもいい経験だろうと思い、そのまま前へ送り出した。

(事業計画の発表)
案の定、いろいろな指摘があった。「『(株)ぼたもち』なのになんでぼたもちが無いんですか?」とか、「そんなにメニューの数があって、銀行からいくら借りるつもりですか?」とか、「皿やコップの費用は経費に入っていますか?」など鋭い質問が彼らに投げられる。何も考えずに値段をつけていた彼らには「今考え中です。」と返すことしか出来なかった。予測通りだが、これも自己責任である。自分達が他の班が頑張っている間、とにかく遊びに夢中だったのだから。集中力の続かない年頃なのか、あちこちと気の向くほうに心が奪われてしまうらしかった。その結果発表がうまくいかなかった。当然なのだが、彼らはその悔しさをVCの私たちにぶつけてきた。「おまえらが教えてくれないから、恥かいたじゃないか」といわんばかりの目で私たちを見る。「何でも教えてもらえると思っているから、そうなるんだよ。」と返してやりたかったが。そこで担当のVCの意見が求められた。「実は、まだうまく話し合いが出来ていない状態なので、もう一度みんなできちんと話し合いたいと思います。」それが最高のフォロー。

(事業企画の練り直し)
「考えていなかったから」と反省の色が伺える。そうなったら、もう一度考え直そうよ。そして(株)ぼたもちの再建が始まった。「食べ物関係の店は他の班がやるので、違うもので勝負してみてはどうか?」とアドバイスをした。これには2つ理由があった。この遊びが優先になる彼らに、火を使わせることは危険と判断したのと、準備に取り掛かるまでに、他の班よりとにかく時間がかかることを考えて、次の日までに用意が出来る店に仕向ける必要があったことだ。

結局、彼らは「ストラッグ アウト」というゲームの店をすることになった。的にボールを投げて、合計点で商品を出すというルールだ。

(登記)
イメージ事業の練り直しに時間がかかり、一番最後に登記所にいくことになった。そこにいかないと資金がない。さらには、商品を安く仕入れられる近くの卸業者が4時半で閉まってしまう。登記所に駆けつけたのが4時05分。なんとか「(株)ぼたもち」が設立した。

その後に彼らに銀行で借入れをするという問題が振りかかった。しかし、彼らはいくら借りるかよりも、何を担保に出すかでもめていた。オイオイ。もめにもめて、結局社長の浜ちゃんの腕時計が担保として預かられた。(子ども達は奪われたと思っていただろう。)そこから、浜ちゃんの腕時計を取り戻すためにみんなで頑張ろう!!という雰囲気になった。

さあ、買い出しギリギリの時間である。自分達の投資と、VCからの投資、銀行からの借入れ1000円の合計1万円を手に握って、近くの卸業者に走り出した。

(仕入れ)
VCを置いて、閉店ぎりぎりの店に自転車で滑り込んだ彼らは、とにかく自分のほしいものを賞品に選んでいた。「どれが何位の賞品なの?」私の質問に順位など考えないで賞品を選んでいた彼らは、適当に答える。「3位より4位の賞品のほうが高いものなの?」と聞くと、自分たちが適当に選んだことを白状する。そこで、各順位の賞品にどのような差をつけるかを話し合った。

を使うかで賞品を決めた。賢明な選択である。しかし、本当ならこのような事は、事業計画書の段階で決めておくべきことだ。何かと壁にぶつかることの多い会社だ。ふー。事業計画書がきちんと書けていないとこういう事になることを、VCとしては強調しておいた。その後、1位と2位の賞品を決めるのに、池上駅周辺の商店街を往復して、かなりの時間を仕入れに費やした。一つの決断にとにかく時間がかかる。商店街の道の真ん中で、あまりにも他人任せな彼らに私は激怒した。「自分たちがやるって決めたんでしょう。何でもいいやって思うなら、やらなくていい。やる気があるなら、自分たちで1、2位の賞品決めて買ってきなね。先に帰って待ってるから。」そこから、VC抜きで(株)ぼたもちは話し合いを始めた。結局1位がアニマルスリッパ(2個)、2位がチップスター(6個)、3位が風船セット、4位がアメになった。仕入れで約7,500円を使った。気づいたら、空は真っ暗。6時半を回っているではないか。

(開店準備)
夜7時から9時まで部屋が開放され、明日の開店に向けて各会社が準備をする。仕入れに時間がかかったものの、(株)ぼたもちは比較的準備が楽なはずであった。なにしろ、ダンボールで的を作るだけで商売道具になるので。しかし、これが始めてみると的だけでは足りないことが分かる。彼らなりに、賞品をどのようにならべるか、ビラをどんなふうに作るか、的の大きさはどうするか、ルールをどうするかなどあれこれ考えている。発想は良いのだが、なかなか実行に移せない。そこで、VCとしてどうアドバイスすべきか悩んだ。半日付き合って分かったことは、彼らがすぐに他人に答えを求めるのが癖になっていることだ。だから、自分たちでやってみて、それから聞くようにと告げた。口で答えを言うのは簡単だ。でも自分でやっていく中で、足りないことに気づくこと、それからどうやって助けを求めるかを考えること、これが起業家教育で学べる大きな要素だと思う。遊びながら、準備がなかなか進まない彼らの尻をたたきながら、何かと苦労したが、準備は整った。

(開店)
イメージゲーム運営係、会計係、呼び込み係の3つに役割分担もして、お客様がきた時のシュミレーションまでやった。門の入り口に店を構え、準備は整った。門を入ってすぐに目に付くから、良いだろうという彼ら考えだ。「1回100円のストラッグアウト」9時開店!!しかし、そこは門の陰になって、寒いし、目立たない。うまく声がかけられない彼らの前を、結局、人は素通りしてしまう。そこでメンバーは賭けに出た。店舗の移動だ。(本当に起業したら、場所を変えるなんてなかなか出来ないことだが、これが一日起業家体験の良いところ。)本堂の前の一等地を陣取った。その場所は看板も要らないほど、目に付くところ。うまくいく気がしてきた。

(営業)
後は、お客様の呼び込みである。ところが、彼らはちょうど人に声をかけるのが照れくさい年頃なので、なかなか声がかけられない。七五三帰りの子どもが興味を持っているのに、それを引っ張り込めない。なかなか自分たちでどうやって人を呼び込んだら良いのかが、掴めない様子だ。1時間ほど、見守ってあまりにもほかの会社との集客力の差に、やるきを無くし始めたころVCは立ち上がった。私も商売っ子である。実家が花屋の私は6歳から花を売っていた。あれこれ戦略を言うのではなく、私の営業力を彼らに見せるほうが早い。時間的にもピークを迎えていたこともあってお客様はどんどん集まった。彼らも触発され、どんどん声が大きくなる。列を作って待つほどのときもあった。

(反省)
波が引いたときの彼らの顔は、疲れているけど、どこか満足そうだった。でも私は彼らを誉めてばかりもいられない。「ゲームやるお客さんに4人も付いていないで、一人は会計をきちんとやる。後の2人はさらに人を呼び込んだり、待っている人を誘導しないとだめじゃない?誰がどの担当か、もう一回確認しよう。」とか、「自分たちだけでお客さんを呼び込めた?」「何でできなかった?」1つずつ、お客さんが増えることで見落としてしまう自分たちの行動を一緒に振り返った。そこで、ゲームのルールに修正を加えたり、営業方法を変えたりと彼らは柔軟にあらゆる変更をした。目標人数は120人だ。70人になり、賞品も少なくなったところで彼らにVCから課題を出した。あと、15人に自分たちの力だけでゲームをやってもらうこと。残り40分である。

(結果)
イメージ彼らは最終のべ89人×100円の売り上げを出した。最後のVCからの課題もクリアし、19人と予想以上に集客していた。やればできる彼らだ。8,900円の売上で7,500円仕入。(株)ぼたもちの利益は約1,400円でした。(1万円のうち2,500円をおつりとして用意していたので)こうして見ると少ないようだが、単価が安いから利益に反映されなっただけで、集客率としては高かったと思う。

(振り返り)
なにかと決断の遅い会社だった。でも最後の追い上げは目を見張るものがあった。たった2日でこれだけ成長してくれれば、VCとしては嬉しい限りだ。何度私が彼らを叱咤したか分からない。しかし、その度に彼らは、自分たちで考えて、行動に起こしていった。自分たちが考えたことが、店を立ち上げるという目に見える形で実現する。そして、他者とコミュニケーションをとりながら、仕事とは何か、実社会とどんなものかを体験して学んでいく。この起業家体験キャンプで学んだことが、この先の彼らの将来にいかなる形であれ活用できる経験になればと思う。

イメージ今回の実践を通して、「自分で考え、行動すること」の楽しさを伝えられるのが起業家教育だと思った。またこのような機会に積極的に参加していきたいと思う。
各班のレポート
「株式会社 おふくろの味」班
「株式会社 バルーンカンパニー」班
「株式会社 ぼたもち」班
「株式会社 ミルキーウェイ」班
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