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東京都大田区 「NTVP青少年少女起業体験キャンプ」(ボランティア)

「株式会社 おふくろの味」班

tsuka君の体験記

イメージ1999年11月13日〜14日の開催された「社会の仕組み体験キャンプ」で私が担当したチームが行った事業に関しての体験記をやや脚色し、ドキュメンタリー風に書き起こしたものです。ここで登場する社長以下の経営陣は全て小学校四年生〜六年生の女の子達です。彼女たちは、スタッフの手助けを受けながらも、自分たちで事業計画から資金調達そして営業活動を行い、一日で約13,000円の売上と約7,000円の純利益を上げました。登記だとか株式や監査ということまでを彼女たちが理解を出来たかどうかは疑問ですが、少なくとも、お金、価格、商売というものの本質的な部分を感じ取ってもらえたのではないかと思います。

また、私にとっても会社設立から解散までの流れを一通り経験するのは初めてだったため非常に勉強になりました。そして、彼女たちとのコミュニケーションの中で、子供の潜在能力の高さを始め様々なことを感じることが出来たことが、何にも変えることが出来ない素晴らしい経験になったのではないかと思います。

社会の仕組み体験キャンプ
<事業計画・事業準備>

イメージ13日の朝、私は、若干の不安と大きな期待を胸に本門寺郎子会館を目指した。新規に会社立ち上げを計画している女性経営者との初めてのミーティングが企画されていた。この時点では、まだ、事業の内容に関しては全く情報を得ていなかった。ただし、相当に有能なマネジメントチームだと言うことだけは人づてに聞いていた。

打ち合わせの会場である郎子会館到着すると、そこでは、起業セミナーが行われていた。セミナーのプログラムが一通り終了し、予定時間よりも少し早く、我々VCと経営陣はミーティングの席に付いた。出席者は、企業側からは、社長、副社長、取締役営業部長、取締役経理兼財務部長、取締役生産部長そして世話人の計6名、VC側からは松浦、塚田の2名であった。初対面のイメージとしては、ポテンシャルの高さを持っているが、同時に非常に若くかわいらしい(小学生)ため、「大丈夫かな?」という印象を受けた。

双方が緊張しているためか多少重苦しい雰囲気のなか、簡単な挨拶の後に早速事業の話に入った。事業の内容としては、11月14日(日)のに日中を使い、本門寺に七五三の参拝に来る家族をターゲットとした製品販売を行うということであった。この時点で、経営陣が合計5000円を出資することが決まっており、残りの資金需要を我々VCからの投資によってまかないたいとのことであった。実際に販売する製品に関する話しになると、副社長の方から「何でもいい!」という説明があった。私は「何でもいい!」という発言の意味を解せずにただ驚き、詳細な事業計画はまだまとまっていない段階だということに気付くのに多少の時間が掛かってしまった。この時点で手を引くことも考えたのだが、結局は、我々は、事業計画の段階から彼女たちに深く関わっていくことになった。(後々、副社長の「何でもいい」は何度も聞くことになるのだが、どうやらこれは彼女がテレを隠すための単なるパフォーマンスであったようだ)

事業計画の策定の段階では、アイデアマンの営業部長から際限なく出てくる事業アイデアを事業計画に落とし込んでいくという作業が中心となった。杖の販売、お菓子の販売、たまご人形の販売等々が出てきたが、結局、焼き芋の販売を行うことになった。(お菓子に関しては、営業部長の主張によってマーケティングツールとして用意することになった。)焼き芋販売事業は、粗利率で50〜70%が期待できるかなり収益率の高い事業であり、在庫を残さないということ、そして、生産設備をどうするかという問題さえクリアできれば順調に進むと思われ、この時点で基本的に我々VCからの投資に関する合意が出来た。そして、後回しにされていた会社名と店舗名もそれぞれ「(株)おふくろの味」、「絶対得する店」に決定された。事業計画の細かい数字及びVCからの投資額に関しては、同日午後に予定されていた事業計画のプレゼンテーションで外部からの意見をもらった上で決定するということで、第一回目のミーティングは終了した。また、私は午後に別案件を抱えていたため、午後のプレゼンテーション以降は松浦に任せることになった。

同日のPM8:00に再度郎子会館に到着すると、明日の店舗準備がほぼ終了して、スケジュールの最終確認が行われているところであった。最終的な事業計画としては、単価350円の焼き芋を30本販売することになったとのことで、その事業資金の一部として我々VCより1株2000円(額面500円)で2株分計4000円の投資をすることに決定していた。(私は当初、多少のバリュエーションが高いかなという感じを受けたのだが、翌日、私の読みの浅さを深く反省することになる)また、焼き芋の生産部隊が手薄だとのことで、私は生産部隊に業務を一部受けることになった。

<開店当日準備・販売活動>
イメージ開店当日の14日は6時に起床した。昨晩1時ぐらいまで打ち合わせを行っていたために非常に辛い朝だった。7時に経営陣と郎子会館の食堂で落ち合うと、副社長に「あんた誰?」と痛烈な朝の挨拶を受け、大きなショックを受けた。昨日の午後席を外していたことを根に持っているのだろうか?本当に忘れてしまったのだろうか?それとも、副社長得意のテレ隠しなのだろうか?

気を取り直して、開店の準備に取りかかる、店舗の設営は営業部長に任せ、私は、焼き芋用のたき火にとりかかった。焼き芋を最初の一本が折れてしまったため、皆で試食をしてみると、非常に良く美味しく出来ていた。この時点で、かなり事業の成功に対する確信がもてた。後は販売活動である。

9:30に開店をすると早速数本が売れたようだ。たき火と売場を往復している生産部長が逐次報告を入れてくれため、売場に行かずに販売活動をモニタリングすることが出来た。ところがその後すぐに一件のクレームが入った。芋に芯が残っているというのである。電子レンジで事前に火を入れていたために生産後に最終チェックを入れることを怠っていた。生産部門の弱さを露呈してしまった。その後、システム見直しにより(1)電子レンジの調理時間を30秒延ばす(2)出荷前の最終チェックを行う、という早急な対応をとり、その後の最終製品の不具合率は0%にすることができた。

その後、一時間ほど順調な売上げを記録していたが、経営陣より一本350円での販売を中止し、半分で200円での販売に切り替えたいという相談を受ける。理由としては、顧客からの要望として、一本丸ごとでは大きすぎるので、小さい単位で販売して欲しいという声が多数挙がっており、それに応えることが出来れば売上げは一層上がると言うことだった。私は、営業活動に関しては経営陣に任せていたので、彼女たちの案はそのまま通った。販売方針の変更後も順調な売上げを続けていたため、その後単価を250円に引き上げたという報告を受けた。(最終決算の時に気付いたのだが、大きな焼き芋に関しては、三分の一で250円での販売をしていたようだ)

社長の冷静な判断そして経理部長が意外にも営業力を発揮し、大盛況のうちに閉店予定時間待たずして完売。最後の一本を私が買い上げて、みんなで簡単な打ち上げを行った。予定以上の成果に、経営陣もVC共々最終決算が楽しみであった。

<決算報告・解散>
イメージ決算報告書の作成に関しては多少苦労した。社長をはじめとして利益がいくらなのかには非常に興味を持っているのだが、それ以外の部分に関しては、経理部長までもが乗り気でなかったのには参った。恐らく、皆営業活動までで全てのエネルギーを使い果たしてしまったのだろう。最終的に締めを行うと、売上高約13,000円、純利益約7,000円と言う当初の収益予想のほぼ倍の結果が出ていた。販売方針及び価格の変更が功を奏したのだろう。予想以上の利益に投資家として経営陣には感謝するばかりであった。

11月14日をもって、(株)おふくろの味は解散し、利益の一部を台湾への義援金として送ることが決議された。再度、今回のメンバーで仕事をする機会があるとすれば、より積極的に投資を行い、もっと彼女たちの能力を引き出せるように私自身が精進をしたいと考えている。

「社会の仕組み体験キャンプ」感想 松浦 怜子

感動、戸惑い、疲労、発見、そして躍動。今回のキャンプは私の感性を想像以上に刺激してくれた。たった2日間ではあったが、そこで学んだ事を自分の心の中に閉じ込めておくのはあまりにももったいないのでできるだけ多くの方と共有できたらと思う。この感想文は、ベンチャーキャピタリストの視点とチームリーダーとしての視点から書こうと思う。

私が担当したのは、小学校4年生4人、小学生6年生1人の計5人の女の子からなる“ジュニア”チームだ。私の他にベンチャーキャピタリスト役の塚田さん、ガールスカウト世話役の方もジュニアチームについた。ベンチャーキャピタリストは、基本的に子供達の事業計画書などに対してアドバイスを提供する役目なのだが、相手が小学生である、ガールスカウト世話役の方もイベントの流れをご存知ないということだったのでベンチャーキャピタリストがほとんどチームリーダーとしてグループをまとめるしかなかった。

イメージジュニアチームは株式会社おふくろの味を設立し、「絶対得する店」でクジ引きつき焼き芋を販売することになった。事業計画は絶対失敗しないだろうという安全策をとり、焼き芋の値段は安くとも必ず利益がでるように仕向けた。当日の天気も晴れるだろうし、芋がきちんと焼けさえすれば必ず利益は出るだろうという確信はあったのだが、1番の心配は当日きちんと商品として芋が出せるのかという根本的な問題だった。私自身、焼き芋作りを経験したことがなく、ましてや機材の場所、焼き方など全く無知な状態だったし世話役のガールスカウトの方が当日参加できないということだったので、事前の機材準備、当日の役割分担決めに随分神経をすり減らした。

当日の活動場所は3箇所。これが厄介だった。まず、朗子会館2階にあるレンジで芋を洗ってラップにつつみ、1つずつ各5分間温めて柔らかくする、今度は温かくなったお芋をグランドまで長い階段を駆け上がって届ける。第二段階のグランドでは芋をアルミホイルで包み鉄板の上にひいた枯葉で温める、この温まったお芋を今度はお寺の境内前にある売り場にもっていき巨大な中華なべで保温するのが第三段階。これでやっとお芋販売活動に移れるというわけで、実に巧みな下準備が行われていたのだ。

やはり当日の流れを上手く作っておかないと販売量に結びつかない。また、ただ売れたらいいというわけではなく子供の自主性を尊重し、上手く活動場所のローテーションを考えてあげないと子供自身の成長にもつながらない。そういうわけで、比較的人気のないレンジ担当は主に私が、グランドでの芋焼を塚田さんが担当し子供達には一時間区切り事に担当場所を移動させた。慣れてくると子供達が自発的に場所を移動したりして楽しみ始めたので、私はレンジ担当を子供にまかせ村口校長先生のアドバイスのもと、事業計画の変更に集中することにした。

最初1つ350円で売っていた芋を半分で200円に変更。すると売れ行きは随分よくなったので今度は250円に値上げした。それでも余裕をもって完売することができた。最初は値上げすることに少し戸惑いがあったのだが、ベンチャーキャピタルの意義はより利益を出せるように指示することなので、スピード判断で値上げしたのは成功だったといえる。

今回のキャンプではリーダーリップについて考えることが多かった。私自身、今までリーダーとして活動する機会が多く、自分の欠点も分かっていたので今回改めてリーダー的活動をするチャンスを与えられ欠点を克服しようと努めた。具体的には“スピード判断を実行に移すこと”。欠点に気づいてその解決のために具体的な行動に移す時には反発、非難されることもある。何かが変わるとそれによって損をする人もいるからだ。しかしそれを恐れていたら船は沈んでいくばかり。今回のキャンプでは柔軟に船の針路変更ができたのでその点では随分満足している。かつて“ボンバー村口”と呼ばれていたベンチャーキャピタリストの村口さんは並外れたリーダーシップをお持ちなのだろう。たとえ個人としてであろうと、組織の中にいようとも私は良きリーダーになりたいと思う。

このキャンプに携わられた皆様、どうもありがとうございました。このような素敵なキャンプに参加させていただいた事、心より感謝しています。
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